展示資料解説

東海道五拾三次之内 宮之図
資料名 東海道五十三次之内 宮之図
分類 江の島一ノ鳥居・大鋸橋付近を描いた作品
作者 歌川 国貞(三代 豊国)
時代 江戸
形態・用途 書画
場所 宮の駅
解説
中判縦1枚 縦25.6 横18.3

宮宿からは、四日市宿を除き、広重の保永堂版東海道の図を用いない背景へと変化します。これについては、国貞の作品が広重の作品に先行して出版されるようになったためではないかと推察されています。
本作の背景は『東海道名所図会(とうかいどうめいしょずえ)』巻之三(寛政9年[1797]刊)より「宮駅 浜鳥居(はまとりい)」を参考にしていると考えられますが、帆を広げようとしている船の図案などは、国貞のオリジナルと思われます。宮宿は熱田神宮(あつたじんぐう)の門前町で、画面左手にある鳥居が浜鳥居です。手前の女性は右手に神事で用いる神楽鈴(かぐらすず)を持ち、熱田神宮の巫女(みこ)に扮したものでしょう。板元は森屋治兵衛(もりやじへえ)。

製作時期:天保10年頃(1839)。板元:佐野喜(佐野屋喜兵衛)
国貞(三代豊国の前名)描くこの東海道シリーズは、各宿の風景をバックにして前面に立ち姿の美人を描いたもので、全シリーズを通し、バックの風景画は広重の保永堂版東海道に非常によく似ています。